Clostridium difficile関連疾患

  • 通常、健常な腸管にはBacteroidesなどを中心とした偏性嫌気性菌が多い。これらに感受性のある抗菌剤が投与されると腸内フローラが撹乱され、Clostridium difficileなどの菌が増殖する。このClostridium difficileが毒素を産生し、下痢などを引き起こす。抗生物質としてはCLDM(嫌気性菌に効くから?)・第3世代セフェム・アンピシリンが有名だが、最近ではキノロンが話題。
  • Clostridium difficileは芽胞を形成する嫌気性菌であり、GPRである。乾燥・アルコールに強いため、下痢症状を有する期間は接触予防策が必要。アル綿の消毒ではなく、手洗いで物理的に落とすしかない。
  • Clostridium difficile associated diarrhea(CDAD):内視鏡で偽膜を確認してはじめて”偽膜性腸炎Pseudomembranous enterocolitis”となる。症状としては、下痢症状からイレウス・megacolon・腸管穿孔などの重篤な症状をきたす事もある。
  • グラム染色:亜端在性の卵円形の芽胞を有するグラム陽性桿菌。
  • ToxinA:腸管毒(enterotoxin)・ToxinB:細胞毒(cytotoxin)・Binary toxin
  • 治療:まずは抗生物質の中止。重篤でなければ2〜3日間経過観察。症状改善なければメトロニダゾール(フラジール)内服を開始する(1000mg/dayを分4で2週間)。重篤ならばすぐにVCM経口内服開始(125mg×4/day)。内服が厳しい場合、内視鏡にて直接注入する事もある。メトロニダゾールの点滴でも良い(日本では無理?)。ロペミンは禁忌。
  • 再発が多いのが問題。再発でも耐性化ではないので、同じ治療を繰り返して良い。
  • 外科的処置の適応:内科的治療に反応しない時・Toxic megacolon・止血できない出血・消化管穿孔
  • 検査:迅速ではトキシンAしか測定できない。嫌気培養は時間がかかる。無症候性キャリアのチェックに検査は行わない。治療経過のチェックに検査は行わない。
  • Clostridium difficile&引き起こされる感染症:国立感染症研究所

  http://www.nih.go.jp/niid/bac2/C_difficile/