多剤耐性緑膿菌MDRP(Multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa)

  • 従来から緑膿菌に対して強い抗菌活性を示してきたカルバペネム系・フルオロキノロン系・アミノグリコシド系の3系統の抗菌薬に対し、すべて耐性の緑膿菌。MDRPはこれら3系統の薬剤が無効というだけでなく、実際には現在、国内で通常使用されている抗菌薬のどれもが単独で投与しても有効性は期待できない。

診断基準(以下の3つの条件を全て満たした場合):
・イミペネムのMIC, ≧16μg/ml
・アミカシンのMIC, ≧32μg/ml
・シプロフロキサシンのMIC, ≧4μg/ml

  • MDRPは5類感染症定点把握疾患に定められている。
  • 多剤耐性獲得の分子機構(7つの機構が挙げられる)

1)内因性の耐性機構(特定の抗菌薬を使い続ける事により細菌が本来持っている内在性の遺伝子が変化し耐性を獲得する例)
 1.DNA gyrase・topoisomeraseの変異(フルオロキノロン耐性)
 2.D2ポリンの減少など細菌外膜の変化(IMP耐性)
 3.薬剤能動排出ポンプの機能亢進(フルオロキノロンなどに耐性)
 4.AmpC型β-lactamaseの過剰産生(広域セファロスポリン耐性)
 5.バイオフィルムの産生の増加
2)獲得性の耐性機構(プラスミドを介した例)
 6.IMP型メタロ-β-lactamase産生(広域セフェム&カルバペネム耐性)
 7.アミノグリコシドアセチル化酵素などの産生(アミノ配糖体耐性など)

  • 治療:コリスチン