ニューキノロン系抗生物質

副作用:

NSAIDsと一緒に飲むと痙攣を起こす事がある。
テオフィリンやワーファリンの濃度を上げる。
制酸剤や鉄剤などを併用するとニューキノロンの吸収が低下。
中枢神経症状(頭痛・めまい・睡眠障害・人格変化)、関節炎、心電図異常(QT延長)
妊婦小児には禁忌!!(軟骨の発達を阻害する)

ニューキノロンは外来では必要ない。
(1)診断がつき、原因菌がわかればニューキノロンを使わずに治療できる。
(2)緑膿菌結核菌などよけいな菌もカバーしている。
ため。外来で使うのは、入院できず経口投与をしなければならい時など。

オフロキサシン・シプロフロキサシン:細菌は1回変異するだけで耐性化
レボフロキサシン・ガチフロキサシン:2回以上の変異が必要。

  • ノルフロキサシンNFLX(バクシダール):消化管・尿路への移行が良い。UTI・旅行者の下痢・肝硬変のSBP。
  • エノキサシンENX(フルマーク):
  • オフロキサシンOFLX(タリビット):シプロと似ている。ただしクラミジアマイコプラズマはこちらのほうが良い。純粋な腎排泄。
  • シプロフロキサシンCPFX(シプロキサン):緑膿菌への抗菌力が強い。黄色ブドウ球菌をはじめとしたグラム陽性菌に効く。シプロフロキサシンだけでは耐性菌が発生しやすいので、リファンピン(RFP)などと併用したりする。
  • トスフロキサシンTFLX(オゼックス):
  • ロメフロキサシンLFLX():
  • フレロキサシンFLRX():
  • スパルフロキサシンSPFX():→米国ではマーケットから撤退。
  • レボフロキサシンLVFX(クラビット):肺炎球菌に強い⇒respiratory quinolone。黄ブ菌・緑膿菌にはあんまり効かない。Chlamydiaへの抗菌力はやや弱い。純粋な腎排泄。
  • ガチフロキサシンGFLX(ガチフロ):嫌気性菌に効く。肺炎球菌に効く。血糖不良になりやすくDMの人には使わない。
  • モキシフロキサシンMFLX(アベロックス):嫌気性菌に効く。ガチフロとほぼ同じスペクトラム。ただし尿路感染症には使えない
  • パズフロキサシンPZFX(パズクロス):
  • トロバフロキサシン(トロバン):肝障害の副作用があるため発売中止となった。完全に肝代謝

・第1号はナリジクス酸。現在は検査室でCNSという培地に使われている(グラム陽性菌のみがはえる)。

・作用機序は、トポイソメラーゼ阻害。新しいキノロンほど耐性を獲得しにくい。

キノロンは殺菌性、濃度依存性の抗菌薬⇒レボフロキサシン・ガチフロキサシンなどは同じ投与量なら1日1回の方が良い。

・本来は、Gram陰性桿菌にスペクトラムを持つ抗菌剤として発売された(第1世代キノロン=old quinolone)。これらが、第2世代から徐々にGram陽性球菌にもスペクトラムを持つように開発されてきた。

・第3世代以降では特に、連鎖球菌・肺炎球菌にもスペクトラムが広がり、細胞内寄生体のMycoplasmaやChlamydiaにも抗菌力があるため、呼吸器系でもrespiratory quinoloneとして使用されるようになってきた(Chlamydiaへの抗菌力はLVFXでやや弱い)。

・第2世代の中では、院内感染で問題となる緑膿菌に抗菌活性のあるものもある。(緑膿菌への抗菌力:CPFX>GFLX=LVFX)

・第4世代では嫌気性菌にも抗菌力を示すようになってきたが、現在のところ副作用が強く、欧米では発売中止、日本では発売すらされていない。

・消化管からの吸収もよく、経口と静注で血中濃度はほとんど変わらないため、経口投与で良い。組織移行は肺・前立腺・気管支・腎・生殖器ともに有効。

・ただし抗酸剤・鉄剤・亜鉛などを同時に飲んでいると、キノロンの吸収が悪くなり効きが悪くなる。テオフィリン・ワーファリンの相互作用にも注意。

・CPFXは緑膿菌への抗菌力が強い。NFLXは消化管・尿路への移行が非常に良いため、尿路感染や旅行者の下痢、肝硬変時のSBP予防などで使われる。

キノロンは尿路感染症に良く使われる。特にシプロとオフロ。普通の尿道炎なら3日間投与。グラム陽性菌によるものなら7日間。淋菌・Chlamydia trachomatis・Haemophilus ducreyi(軟性下疳)にも効くが、クラミジアによる尿道炎には反応はいまいち⇒テトラサイクリンやマクロライドをかませる。

キノロンは消化管感染にも使われる。旅行者の下痢とかにも良く使われれる。
・呼吸器感染症にも使われる。特にレボフロキサシン。非典型性肺炎にはキノロンが良い。

・レボフロキサシンは半減期が7〜8時間と長く、濃度依存性が高いが、保険適応量で分割投与しても高濃度が達成できないため、1日1回投与が正しい用法。