睡眠薬の用法と用量

1. 入眠障害:超短時間作用型睡眠薬を中心に使用。
【処方例】
(1) マイスリー錠(5mg)1回1〜2錠 就寝前頓用
(2) ハルシオン錠(0.25mg)1回1〜2錠 就寝前頓用
(3) アモバン錠(7.5mgまたは10mg)1回1錠 就寝前頓用
(4) レンドルミン錠(0.25mg) 1回1〜2錠 就寝前頓用

2. 入眠障害中途覚醒:超短時間作用型と中間作用型の睡眠薬を併用。あるいは短時間作用型睡眠薬をやや高用量で使用。
【処方例】
(1) マイスリー錠(5mg)1回1錠or ハルシオン錠(0.125mg)1回1錠
ロヒプノール錠(1mg)orサイレース錠(1mg)1回1〜2錠 就寝前頓用
(2) デパス錠(1mg) 1回1〜2錠 就寝前頓用
(3) リスミー錠(1mg) 1回1〜2錠 就寝前頓用
(4) エバミール錠(1mg)or ロラメット錠(1mg)1回1〜2錠 就寝前頓用

3. 中途覚醒
a.軽度の場合
【処方例】
(1) ドラール錠(15mgまたは20mg) 1回1錠 就寝前頓用
b.中等度/高度の場合あるいは中途覚醒早朝覚醒:中間作用型睡眠薬をやや高用量で使用.
【処方例】
(1) ロヒプノール錠(2mg)orサイレース錠(2mg) 1回1錠 就寝前頓用
(2) ユーロジン錠(2mg) 1回1〜2錠 就寝前頓用
(3) ネルボン錠(5mg)or ベンザリン錠(5mg) 1回1−2錠 就寝前頓用

4. 早朝覚醒 3-bの処方例に準ずるが,原因がうつ病の場合には短時間/中間作用型睡眠薬抗うつ薬を併用する。
【処方例】
(1) デパス錠(1mg) 1回1−2錠
(2) デジレル/レスリン錠(25mgまたは50mg) 1回25−50mg 就寝前頓用
デジレル/レスリン以外の抗うつ薬ではトリプタノール/ラントロン,プロチアデンテトラミドなどを使用。

5. 常用量依存からの離脱 超短時間作用型あるいは短時間作用型を常用している場合は、それらを非常にゆっくりと減薬していく方法と,長時間作用型睡眠薬に一度置き換える方法とがある。
【処方例】
(1) ダルメートカプセル(15mg)or インスミンカプセル(10mgまたは15mg) 1回1−2カプセル 就寝前頓用
(2) ソメリン錠(5mg) 1回1−2錠  就寝前頓用


・術後患者の不眠に対してはおそらく2の入眠障害中途覚醒であると推測されるので
マイスリーレンドルミンハルシオンアモバン)+ ロヒプノールサイレースユーロジンネルボンベンザリン
が効果的だろう。

セレネース

日中のうとうとした仮眠状態のために睡眠自体は足りており、そのため、夜間眠れなくなる場合、家族や医療スタッフが頻繁に出入りし、テレビやラジオから絶え間なくさまざまな映像や音声が流れている日中のほうが眠りに誘われやすいようである。刺激が極端に乏しくなる午後9時以降の夜間帯に目が冴え渡るのである。自分自身の症状と家族の将来が唯一の関心事となる翌朝の6時まで、このような人は長い長い夜を過ごしている。ナースコールを頻繁に眠らして(日中はほとんど苦にしなかった)比較的軽度の症状を執拗に訴えたり、眠りたいと訴えたりする。このようなとき、大量の睡眠薬を用いて強引に入眠させることもできるが、予想外の短時間で覚醒し以後もうろう状態になることが多く、睡眠薬に頼るのは得策とはいえない。このような際には、抗精神病薬セレネースが効果的なことがある。